こんにちは!
小さなお子さんが突然腕を痛がって動かさなくなった…そんな経験はありませんか? それは「肘内障(ちゅうないしょう)」かもしれません。肘内障は、特に1〜5歳くらいの幼児に多く見られるケガで、腕を引っ張った際などに肘の関節がずれてしまう状態です。今回は、肘内障の原因や症状、応急処置、そして再発予防について詳しく解説します。
肘内障とは?
肘内障とは、肘の関節部分である「橈骨頭(とうこっとう)」という骨が、靭帯から部分的に外れてしまう状態のことを指します。完全に関節が外れる脱臼とは異なり、関節のずれが主な原因です。子どもの骨や関節はまだ成長途中で柔らかいため、大人よりもこのような状態が起こりやすいのです。
特に1歳から5歳の子どもに多く、成長とともに関節がしっかりしてくる6歳以降では発生することはほとんどありません。
肘内障の原因
肘内障は、日常生活のちょっとした動作で起こることが多いのが特徴です。主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
• 腕を強く引っ張る
• 例:親が手を引いて歩かせようとしたとき
• 例:遊びの中で腕を引っ張られたとき
• 転倒時に手をついたり、体の下敷きになる
• 寝返りの際に自分の体の下に腕を挟んでしまう
• 兄弟や友達とのじゃれ合いの中で腕をひねってしまう
このように、特に強い力が加わらなくても、ちょっとした動作で肘内障が起こることがあります。
肘内障の症状
肘内障が起こると、次のような症状が見られます。
✅ 突然、片腕を動かさなくなる(ダランと垂れたまま)
✅ 肘を曲げたり、腕をひねると痛がる
✅ でも、見た目には腫れや変形がない
✅ 手首や指は普通に動かせる
痛みはあるものの、泣き止んでしまうと意外と落ち着いていることもあります。そのため、「骨折ではなさそうだけど、腕を使いたがらない…」という場合は肘内障を疑いましょう。
肘内障の治療法
肘内障は、接骨院や整形外科で「整復(せいふく)」と呼ばれる施術を行うことで、すぐに治ることがほとんどです。
整復とは?
• 肘の関節をやさしく元の位置に戻す手技です。
• 施術は数秒で終わり、整復後はすぐに痛みが消えて普段通り腕を動かせるようになります。
• レントゲンを撮らなくても診断できる場合がほとんどです。
整復後、すぐに元気に腕を動かし始めれば、特別な固定や治療は不要です。ただし、まれに肘の腫れや骨折がある場合もあるため、症状が改善しない場合は再度診察を受けましょう。
家庭でできる応急処置は?
肘内障が疑われる場合、無理に腕を動かそうとせず、すぐに専門家に診てもらうことが大切です。
⚠ やってはいけないこと
✖ 無理に肘を動かす、引っ張る
✖ ぐるぐる回したり、無理に伸ばす
✖ 温めたり、冷やしたりする
間違った方法で無理に戻そうとすると、かえって症状を悪化させることもあります。速やかに接骨院や整形外科を受診しましょう。
肘内障の再発を防ぐには?
肘内障は、一度なると再発しやすい傾向があります。特に同じ腕で繰り返し起こることが多いため、日常生活の中で注意が必要です。
✔ 子どもの手を強く引っ張らない
✔ 腕をねじるような動作を避ける(遊びの中での無理な動作に注意)
✔ 転倒しやすい環境を整える(滑りやすい床などに注意)
成長とともに肘の関節がしっかりしてくると、肘内障は自然と起こりにくくなります。それまでは、腕を引っ張ることがないよう意識して過ごしましょう。
まとめ
肘内障は、1〜5歳の子どもに多く発生する肘の関節のずれです。腕を引っ張るなどの些細な動作で起こるため、親御さんも注意が必要です。
もしお子さんが突然腕を動かさなくなったら、無理に動かさずに接骨院や整形外科を受診してください。整復をすればすぐに治ることがほとんどです。
当院でも肘内障の整復を行っていますので、お困りの際はお気軽にご相談ください!